負ける売買ルールは存在しない

あえて極論を述べるならば、負ける売買ルールなどというものは存在しない。なぜならば、売買を逆にすれば、すぐ勝つ売買ルールに変換できるからだ。

勝てないトレーダーは負けることもできない。では、なぜ世間には「勝てない」とぼやくトレーダーが大勢いるのか?

コイントスでも2人に1人は負ける

先ず、コイントスで売買を決めるような勝つことも負けることもできない売買ルールでも2人に1人は負けるからである。逆に言えば、2人に1人は勝つのだ。

世の中にはコイントスと変わらない無意味な売買ルールでトレードする人もいるだろう。偶然、勝ったからといって、「こうすれば勝てる」と喜ぶのは間違いだ。同様に、偶然、負けたからといって、「こうすれば負ける」と反省するのも間違いなのである。

単にコストを支払っただけ

次に、支払ったコストを負けだと思い込んでいる人がいるからだ。すでに述べたように無意味な売買ルールでは勝つことも負けることもできない。だが、これはコストを考慮しなかった場合である。コストを支払えば負ける確率が勝つ確率より高くなる。それだけのことだ。

例えば、ある価格で買ったとする。そして、価格が+10.0、または-10.0で決済する。上昇する確率と下落する確率が同じと仮定すると、コストを考慮しない場合、

期待利益 = 10.0 * 0.5 - 10.0 * 0.5 = 0.0

となる。ここでコストを1.0として考慮したとする。すると、

期待利益 = 10.0 * 0.5 - 10.0 * 0.5 - 1.0 = -1.0

となって、負けとなる。コストを考慮した上で勝つには例えば

期待利益 = 10.0 * 0.55 - 10.0 * 0.45 - 1.0 = 5.5 - 4.5 - 1.0 = 0.0

のように勝率を55%より大きくしなければならない。

ここでトレーダーがたくさん儲けたいので、トレードの回数を増やしたとする。例えば価格が+5.0、または-5.0で決済してトレードの回転を速めるのである。負けたときの金額も小さくなるので、リスクが下がったような気もする。だが、この条件で勝つには

期待利益 = 5.0 * 0.6 - 5.0 * 0.4 - 1.0 = 3.0 - 2.0 - 1.0 = 0.0

のように勝率を60%より大きくしなければならない。

トレーダーがさらに価格が+2.5、または-2.5で決済してトレードの回転を速めたとする。すると

期待利益 = 2.5 * 0.7 - 2.5 * 0.3 - 1.0 = 1.75 - 0.75 - 1.0 = 0.0

のように勝率を70%より大きくしなければならない。

このように、売買ルールとは関係なく、単に狙う値幅を小さくしてトレードの回転を速めるだけで、勝つためのハードルはどんどん高くなるのである。

売買を逆にして勝つには

少し脱線する。実を言うと、負ける売買ルールでも売買を逆にすれば勝てる、というのもコストを考慮しなかった場合である。コストを考慮した場合、負けにはコスト分も含まれる。したがって、本当の負けは実際より小さい。売買を逆にした場合、マイナスがそのままプラスになるわけではないのである。

プラスになるのは本当の負けの部分だけだ。そしてプラスになった分からさらにコストを減じる。それでもプラスが残った場合のみ、「売買を逆にすれば勝てる」のである。

つまり、

-(コスト込みの損益 + コスト) - コスト > 0
-(コスト込みの損益) - コスト - コスト > 0
-(コスト込みの損益) - コスト * 2 > 0
-(コスト込みの損益) > コスト * 2
コスト込みの損益 < -(コスト * 2)

である。コスト込みの損益がコストの2倍より大きな負けでないと「売買を逆にすれば勝てる」にはならない。

反省するのはいいことだが…

本題に戻る。反省するのはいいことだ。しかし、本当に負けたのか、無意味にトレードを重ねてコストを支払っただけなのではないか、ということも考えるべきだ。さもないと、せっかくの反省も見当違いなものになる。

(2017/02/18更新)

「シストレ」って儲かるの?

「シストレ」とは?

「システムトレード」、または「シストレ」という言葉があるが、その意味するところは使う人によってかなり異なる。広義には作成された売買ルールに従ったトレードをすること、という意味のようである。そして、狭義では広義のシステムトレードのうち、売買を自動で執行するもの、という意味のようである。

このため、自分で作成した売買ルールに従って手動で売買するのも(売買ルールに従うという意味で)システムトレードである。また、他人の作った売買ルールに乗っかって自動売買するなら、それも(売買ルールを作ったのが誰であるかは問わないから)システムトレードだということになる。

システムトレードの研究をするという場合、前者であれば市場分析によって利益をもたらす売買ルールを発見することが中心となるだろう。そして、後者であれば、選択肢として提供された売買ルール群の良し悪しを見抜き、どう活用するかということが中心となるだろう。同じシステムトレードでもベクトルがかなり違い、これをひとくくりにするのには違和感がある。

私は自分で作成した売買ルールに従ってトレードすることをシステムトレードだと考えていた。ところが、ネットで「システムトレード」、あるいは「シストレ」で検索すると別の意味で使われていることが多い。「業者が提供するストラテジー(売買ルール)を選択し、自動で売買させること」という意味で使われているのだ。それはさて、今回取り上げる「シストレ」は、「業者が提供するストラテジーを選択し、自動で売買させること」という意味で使う。

私の失敗経験

ではシストレは儲かるのかというと、正直よく分からないし、興味がないので一々検証する気も起きない。実を言うと、FXを始めたばかりのころ、このようなサービスを恥ずかしながら一度だけ利用したことがある。

当時、FXを始めたものの、まるで勝てず、どうすればよいか悩んでいた。そんなとき、とあるシストレ業者のストラテジーの中で勝ち続けているものがあるのを見つけた。それは日々勝ち続け、しかもランキング上位に数カ月続けて留まっていた。

これは本物だと思った私はそのストラテジーがいつも同じ時間に注文を出していたので、その時間にチェックし、同じ注文を出した。それで勝てるに違いないと思い、そして実際に勝ったのである。

気を良くした私は取引サイズを倍にしたが、よくあることで、その日を境にそのストラテジーは負け始めた。そんなはずはない、そのうち持ち直すはずだと思って売買を続けたが、負けは続く。これ以上の負けは授業料とするには高すぎると考えた私はついにあきらめた。

本物と信じたストラテジーのその後

それから半年か1年かくらい立った後、あのストラテジーはどうなったろうかと思って業者のサイトを見てみた。すでにランク外に消えていて、検索してようやく見つけた。取引履歴を見ると、その後も負け続け、一時やや持ち直したが、さらに負け続け、そのままとなっていた。

業者のサイトには上位ストラテジーの直近のパフォーマンスが紹介されていて、いかにも儲かっているかのように宣伝していた。だが、儲かっているストラテジーが上位になっているのだから、当たり前のことで、問題は儲かり続けるかである。

たくさんのストラテジーがあれば、例えまぐれでも、ある程度の期間は勝ち続けるストラテジーがいくつもあるはずだ。ならば、その上位は必ず儲かっているに違いない。だが、大抵は1年もすれば消えてしまい、また別のストラテジーが上位を占めるということを繰り返している。こうして私はこのようなサービスに対する興味を全く失い、むしろ不信感を抱くようになったのである。

ストラテジーの良し悪しの判断は困難

シストレで儲けるためにはストラテジーの研究が必要だ。しかし、ストラテジーの良し悪しの判断は相場が上がるか下がるか予想するくらい難しいのである。

業者にもよるし、今と昔では違うかもしれないが、ストラテジーの判断材料といったらパフォーマンスと取引履歴くらいしかない。せいぜい方針程度で具体的な売買ルールは公開されておらず、中身はブラックボックスである。限られた材料でストラテジーの良し悪しを判断するのは非常に困難だと言わざるを得ない。

そもそもの話をすると、このようなストラテジーに乗っかろうとするのは自力で勝てないからだ。自分で売買ルールも作れないのに他人の売買ルールの良し悪しを見抜くことなどできるのか、はなはだ疑問だ。同じようなことは市販EAを評価する場合にも言えることである。

そういえば当時、某掲示板でこの業者についてのスレッドが立っていて、利用者がストラテジーについてあれこれ批評していた。中にはテクニカル指標で分析してみせて「上昇トレンドなのに売るとか馬鹿じゃねーの」みたいなことを言っている人もいた。自力で勝てない人間がうんちくを垂れて批評するなど噴飯物だ。

ストラテジーの研究より相場の研究

ストラテジーの研究をするよりも先ず自力で勝てるように相場の研究をしたほうがはるかによいと私は考えている。経験的に本物が少ないと分かっているものの研究は虚しい。むしろ相場の研究をしたほうが有意義であるし、ストラテジーの良し悪しを見抜く目も持てるようになるだろう。

(2017/01/28更新)

「FXで月○○万円稼ぐ」は本当か

FX商材には要注意

「FXで月○○万円稼ぐ」と称した本やサイトをよく見かけるが本当だろうか。嘘かもしれないし、本当かもしれない。また、本当であったとしても、必ずしも読者の役には立たないとは限らない。

先ず嘘である場合だが、これは宣伝文句で読者を呼び込んで

  • 広告収入を得る
  • 本、DVDを販売する
  • 有料のメルマガ、セミナーなどをやったりして利益を得る

といった魂胆であろう。

もちろん、こんなところで金を使っても無駄にするだけだ。そこで得た情報でFXをやっても負けるばかりで、二重の損失になりかねない。

次に本当である場合だが、さらに運による場合と実力による場合とが考えられる。運による場合はたまたま偶然稼げただけなのに実力と思い込んでいるのである。運による場合、そのような著者の書くものを読んでも役には立たない。

運による場合でも中には偶然稼いだだけということを自覚している者もいるかもしれない。稼いだこと自体は嘘ではないということで、その事実を資本に勝ち組だのカリスマだのと自称して商売の種にするのである。

信用する前に先ず検証

言っていることが本当で、しかも、それが実力に基づいている著者の書くことだけが役に立つ可能性がある。では、どうやってそれを見抜けばいいのだろうか。それはその著者の手法を実際のデータを用いて検証することである。

私がFXを始めたばかりのころ、amazonの書評を見て評判の高かったFXのトレード本を読んでみた。私は一々自分で確認しないと信用しない性格なので、著者の言うことが本当か調べた。

当時、プログラミングは知らないし、Excelすら使えなかったが、ノートにデータを書き込み、電卓で計算した。日足で半年分程度であったが、1週間くらいかけてようやく検証を終えた。すると、著者が本に書いてある資産曲線とは全く形状が違い、まるで勝てていないことが分かった。

今だったらプログラミングで一瞬で終わるような検証だが、こういった検証を怠ると痛い目に遭う。他人の言うことを真に受けてはいけないのだとつくづく思った。

検証不可能なものは信用しない

また、検証不可能なものは信用しないことである。裁量トレーダーの手法にはデータとして入手しにくい情報や臨機応変の判断などがあって検証できない場合がある。だからといって嘘と決めつけるのも酷ではある。しかし、役に立つかどうか分からないものを信用はできない。

裁量トレーダーの手法には検証できる部分もないわけではない。検証できる部分があれば確認してみるといい。もし検証してまったく勝てないようであれば嘘と考えても構わない。

検証できる部分だけでもそれなりに勝っている。それがその他の情報や臨機応変の判断で勝ちをより確実に、より大きくした、というのであれば理解できる。だが、まったく勝てていないのにその他の情報や臨機応変の判断で勝ちに変えるというのであればおかしな話だ。

そのような無駄なことはせず、初めからその他の情報や臨機応変の判断だけ用いればいいのである。入手しにくい情報や臨機応変の判断などという検証不可能な理由を隠れ蓑にしてホラを吹いているようにしか思えない。

数学、プログラミング、英語などの勉強のほうが有意義

だが、実を言うと、他人が本物かどうか調べる暇があるなら、もっと有意義なことをやるべきだ。数学、プログラミング、英語などを勉強したほうがトレードの役に立つと私は考えている。

断定的なことは言えないが経験的に言えば、本物はほとんどいない。本物でない者の言うことを一々調べるなんて時間の無駄ではないか。そんな暇があるなら勉強するに越したことはない。

ネットでFXについて検索してみると、うさん臭い、しかも有料の情報が少なくない。だが数学やプログラミングについて検索すると、多くは真面目であり、かつ無料である。英語サイトで見れば英語の勉強にもなる。

月にいくら稼ぐより安定して勝つことが重要

そもそも月にいくら稼ぐということは重要ではないのである。重要なのは安定して勝つということだ。安定して勝つということと安定して勝てないということとの間には埋めることのできない大きな差がある。

それに比べれば月に1万円稼ぐのと100万円稼ぐのとでは大した差はない。この程度の差は資金量やリスクのとり方で埋められる。いくら稼ぐかよりも先ず安定して勝つにはどうするかを考えるべきなのだ。

コインを投げて、その裏表を当てさせ、当てたら資金を倍、当てられなければ没収というゲームに参加したとしよう。2人に1人は資金を2倍、4人に1人は資金を4倍、8人に1人は資金を8倍、16人に1人は資金を16倍にできるだろう。だが資金を16倍にできたところで、ただの運であって、尊ぶには足りないのだ。

(2017/01/28更新)

はじめに

ブログの内容

このブログはFXを定量分析の観点から考察することを主なテーマとして書かれています。ただ、形式はブログですが、実質的にはホームページに近いものです。

通常のブログとは違い、記事は随時更新、削除、あるいは書き直した上で新規投稿されます。情報はすぐに古くなるもので、いつまでも残すのは誤った情報を発信することになるからです。

私はOSにUbuntuを使っており、プログラミング言語は主にPythonを使っています。また、トレードやバックテストをするために「forex_system」というライブラリを自作して使っています。

記事は上記の環境に基づいて書かれたものが多く、またサンプルプログラムが置かれている場合もあります。もしサンプルプログラムを実行するのであれば、あらかじめ上記の環境を構築する必要があります。環境の構築については「環境の構築」カテゴリの各記事を参照して下さい。

自己紹介

私の名前は西明ということにしておきますが、本名ではありません。東京の西の方に住んでいます。

FXは2011年に始めました。何とかかろうじて生き残っているという程度の兼業トレーダーです。

初めは裁量トレードでしたが、なかなかうまく行かず、システムトレードに転向しました。最近は裁量トレードとシステムトレードの併用でやっていて、今のところ、うまく行っているようです。

Twitterもやっています。主にブログ更新のお知らせ用に使っていますが、それ以外のことも時々つぶやきます。

https://twitter.com/fxst24

また、GitHubもやっています。「forex_system」ライブラリなどのファイルはここに置いてあります。

https://github.com/fxst24

(2017/01/28更新)