週単位、月単位で勝つためのシャープレシオ

あるトレード戦略が週単位、月単位で勝つためにはどの程度のシャープレシオが求められるかということを考えてみる。

もし年単位の利益が10%、年単位のリスクが10%だとすると、シャープレシオは0.1 / 0.1 = 1.0となる。1年後の利益は10±10%であるから、0~20%と予測される。

ところで、リスクは1σで計算されるから、68.27%の確率で、予測はその範囲内に収まると考えられる。つまり1年後の利益がプラスである確率は68.27%以上となる。なぜ68.27%「以上」になるかというと、年単位20%を越える利益となる可能性も含まれるからである。

もう少し正確には

68.27 + (100 - 68.27) / 2 = 84.135

で、84.135%となる(手計算なので誤差あり)。もちろん、これは机上の空論だが、一応の目安にはなる。

仮にプラスとなる確率が84.135%以上であれば「勝てる戦略」とすることができるとしたら、シャープレシオが1.0以上なら年単位では「勝てる戦略」と言える。同様に週単位、月単位のシャープレシオが1.0であれば、1週間後、あるいは1ヶ月後の利益がプラスである確率は84.135%となる。つまり、週単位、月単位で「勝てる戦略」と言える。

ただ、シャープレシオは年単位で計算するのが普通であるから、そこで、簡易的に週単位、月単位のシャープレシオが1.0以上であるためには、年単位のシャープレシオがどのくらい以上でなければならないかということを考えてみる。

ここでは1週間を5営業日、1ヶ月を20営業日、1年を260営業日としておく。また、1日単位の利益をr、1日単位のリスクをsとする。さらに、√をsqrtとする。

√Tルールに基づけば、

週単位のシャープレシオ = 5r / sqrt(5s)

月単位のシャープレシオ = 20r / sqrt(20s)

年単位のシャープレシオ = 260r / sqrt(260s)

となる。ここでは簡単にするため、リスクフリーレートは考慮しないことにする。

週単位で勝つためのシャープレシオ

先ず、週単位のシャープレシオが1.0以上であるには、年単位のシャープレシオがどのくらい以上でなければならないかを考える。

年単位のシャープレシオ / 週単位のシャープレシオ = 260r / sqrt(260s) / (5r / sqrt(5s))

年単位のシャープレシオ / 週単位のシャープレシオ = 260r / sqrt(260s) * (sqrt(5s) / 5r)

年単位のシャープレシオ / 週単位のシャープレシオ = (260r * sqrt(5s)) / (sqrt(260s) * 5r)

年単位のシャープレシオ / 週単位のシャープレシオ = (52 * sqrt(5s)) / sqrt(260s)

年単位のシャープレシオ / 週単位のシャープレシオ = (52 * sqrt(5s) * sqrt(260s) / (sqrt(260s * sqrt(260s))

年単位のシャープレシオ / 週単位のシャープレシオ = (52 * sqrt(1300 * s^2)) / 260s

年単位のシャープレシオ / 週単位のシャープレシオ = (52 * sqrt(1300) * s) / 260s

年単位のシャープレシオ / 週単位のシャープレシオ = (10 * sqrt(13)) / 5

年単位のシャープレシオ / 週単位のシャープレシオ = 2 * sqrt(13)

年単位のシャープレシオ / 週単位のシャープレシオ = 約7.21

週単位のシャープレシオ = 1.0であるから

年単位のシャープレシオ = 約7.21

となる。つまり、週単位のシャープレシオが1.0以上であるには、年単位のシャープレシオが約7.21以上である必要がある。

月単位で勝つためのシャープレシオ

次に、月単位のシャープレシオが1.0以上であるには、年単位のシャープレシオがどのくらい以上でなければならないかを考える。

年単位のシャープレシオ / 月単位のシャープレシオ = 260r / sqrt(260s) / (20r / sqrt(20s))

年単位のシャープレシオ / 月単位のシャープレシオ = 260r / sqrt(260s) * (sqrt(20s) / 20r)

年単位のシャープレシオ / 月単位のシャープレシオ = (260r * sqrt(20s)) / (sqrt(260s) * 20r)

年単位のシャープレシオ / 月単位のシャープレシオ = (13 * sqrt(20s)) / sqrt(260s)

年単位のシャープレシオ / 月単位のシャープレシオ = (13 * sqrt(20s) * sqrt(260s) / (sqrt(260s * sqrt(260s))

年単位のシャープレシオ / 月単位のシャープレシオ = (13 * sqrt(5200 * s^2)) / 260s

年単位のシャープレシオ / 月単位のシャープレシオ = (13 * sqrt(5200) * s) / 260s

年単位のシャープレシオ / 月単位のシャープレシオ = sqrt(5200)) / 20

年単位のシャープレシオ / 月単位のシャープレシオ = (20 * sqrt(13)) / 20

年単位のシャープレシオ / 月単位のシャープレシオ = sqrt(13)

年単位のシャープレシオ / 月単位のシャープレシオ = 約3.61

月単位のシャープレシオ = 1.0であるから

年単位のシャープレシオ = 約3.61

となる。つまり、月単位のシャープレシオが1.0以上であるには、年単位のシャープレシオが約3.61以上である必要がある。

まとめ

年単位のシャープレシオが2.0前後の戦略でもなかなか素晴らしいパフォーマンスだと思うが、それでも週単位、月単位ではけっこう負けることもあるわけで、少なくとも単体の戦略で週単位、月単位で勝つということはなかなか容易ではない。逆に言えば、週単位、月単位で勝つためには複数の戦略が必要ということになるだろう。

しかし、複数の戦略を用いるにしても、互いの戦略が正の相関であれば、つまり同じようなタイミングで勝ち負けする似たような戦略の組み合わせであれば、あまり意味がない。無相関、できれば負の相関の戦略と組み合わせたいが、実際にやってみようとすると、これもなかなか難しいのである。

(2016/11/15更新)

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