ポートフォリオの最適化

ポートフォリオと言えば複数銘柄の保有比率を指すことが多いと思う。だが、ここでは複数戦略への資金の投入比率として考えることとする。

また、ポートフォリオの最適化は一般的には目標リターンを設定した上でリスクを最小化することを指すようである。目標リターンを設定しないなら、期待リターンとリスクの比、つまりシャープレシオの最大化と考えてもいいのだろう。ここではシャープレシオの最大化ということを考える。

ポートフォリオにも過剰最適化のリスク

ポートフォリオの最適化にもバックテストにおけると同様、過剰最適化のリスクがある。例えばバックテスト自体はウォークフォワードテストを行ったとしても、投入比率の決定に全期間を用いたなら、これにはトレードの時点で存在しないデータを使う先読みバイアスのリスクがある。

複数戦略の中に期待リターンがマイナスの戦略があったとする。ポートフォリオの最適化を行うと、その戦略のウェイトは0、あるいはほぼ0になるだろう。また、期待リターンがプラスの戦略においても、期待リターンが大きい戦略ほどウェイトが大きくなる傾向が出てくるだろう。

となると、最適化の結果、負ける戦略は排除され、勝てる戦略のみが残ることになる。だが、戦略のどれが勝ち、あるいは負けるのかということは後になって分かることであり、トレードの時点では知りようがないのだから、このような最適化はパフォーマンスを過大評価する。

もっとも、ウォークフォワードテストでパフォーマンスの良い戦略をポートフォリオに入れ、悪い戦略は入れない、ということは最適化の前に行われているだろう。これも一種の先読みバイアスではある。

等ウェイトも馬鹿にできない

それはともかくとして、ポートフォリオの最適化はウォークフォワードテストと同様、インサンプル期間で行い、パフォーマンスの評価はアウトオブサンプル期間で行うのが先読みバイアスのリスクを少しでも減らす方策の1つだろう。とりあえずそうするとしても、まだ問題がある。

一応、単体でも勝てる戦略であったとしても、比較的短いインサンプル期間では期待リターンがマイナスになることもある。すると、続くアウトオブサンプル期間において、その戦略のウェイトは0、あるいはほぼ0になってしまうと考えられる。果たして、それでよいのだろうか。

調子の良い戦略のウェイトを増やし、調子の悪い戦略のウェイトを減らすのは一見、理に適っているようにも見える。現在の値動きが過去の値動きの影響を受けないなら確かにそうかもしれない。

だが、買い有利の相場と売り有利の相場が交互に来るとか、順張り有利の相場と逆張り有利の相場が交互に来るとかいうことも考えられる。すると、買いで負けたので売りに転換してさらに負けるとか、順張りで負けたので逆張りに転換してさらに負けるとかいった具合で往復ビンタを食らうことにもなりかねない。

実際にこのタイプの最適化を行うと、ある戦略のウェイトがほぼ100%を占めたと思うと、次の期間では別の戦略のウェイトがほぼ100%を占める、といったことがよく起こる。これは、ほぼ100%を占めていた戦略が次の期間ではほぼ0%になっていた、つまり、ほぼ100%の資金を投入した戦略が負けたということであり、ほぼ0%の戦略が次の期間ではほぼ100%を占めていた、つまり、ほとんど資金を投入しなかった戦略が勝ったということである。

その結果、等ウェイトでのパフォーマンスを下回るということも往々にしてある。最適化がかえって劣化をもたらすのである。

逆に何も考えずに等ウェイトでポートフォリオを組むというのはいかにも芸がなく、頭の悪いやり方にも見えるが、意外と等ウェイトでのパフォーマンスを超える最適化というのも難しかったりする。等ウェイトもなかなか馬鹿にできないもので、無理に最適化はせず、等ウェイトでよい、とするのも1つの考え方である。

(2016/11/19更新)

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