スリッページの損得

スリッページは順張り(逆張り)に不利(有利)

スリッページというと何となく良くないイメージがあるかと思う。注文を出して自分が想定した価格で売買できなかった場合、売買価格がトレーダーの不利になるように動くことが多いような気がするものだ。ブローカーが本当に公正であるかということに対する不信感も関係あるだろう。だが、それについてはここでは触れない。

私は経験上、スリッページは順張りには不利に、逆張りには有利に動く傾向があるように感じている。あくまでも個人的な印象であって、きちんと検証したわけではない。ただ、バックテストにおいても、実際のトレードにおいても、そのような局面に出くわすことが多い「気がする」のである。

逆張りでは1分1秒を争うようなことはない

例えば、逆張り戦略において、1分足で計算期間50のケースと5分足で計算期間10のケースとでバックテストしたとする。いずれも50分であるから、パフォーマンスにおいて大差はないと思うだろう。実際、大差はないが、5分足のほうがパフォーマンスがよいことが多い「気がする」(これより後は「気がする」は省略)。

私は順張りが苦手で、トレードはもっぱら逆張りである。普段は逆張りシステムにシグナルをメールで知らせるようにしている。メールを確認してからトレードするのであるから、当然、システムより遅れる。5分、10分遅れることはしょっちゅうである。もちろん、トレード機会を失うこともあるが、むしろシステムより有利なレートで売買できることが多い。

トレードというとモニターをいくつも並べてリアルタイムで情報を追い、瞬時の判断が勝敗を決めるというようなイメージを持っている人を見かける。だが、私はスマートフォン1つでトレードしている。チャートもシグナルが来てから確認するが、まったく問題はない。1分1秒を争うようなことはないのである。

ブレイクアウト戦略の劣化がひどい

順張りでは逆のことが起きる。といっても普通の順張りでは使えそうな戦略を作れた試しがないので、ここではブレイクアウト戦略について述べる。ブレイクアウトは5分足より1分足のほうがパフォーマンスのよいことが多い。MT4であれば、モデルを「全ティック」でバックテストしたほうがパフォーマンスはよい。となると、これは1分1秒を争うのである。

私は以前、とても素晴らしい(と思った)ブレイクアウト戦略を作ったことがある。バックテストでもウォークフォワードテストでも素晴らしいパフォーマンスである。私がそれまで、いや、今まで作ったどの戦略よりも優れていた。資産曲線はほぼ一直線の右肩上がりであった。

つい浮かれてしまい、デモ口座で試すこともあまりせずに実弾を投入した。これは手動では無理なのでEAを使った。大儲け間違い無しと思っていたのだが、案に相違してちっとも勝てない。おかしいと思い、取引履歴と同期間のバックテストを比較してみた。すると、バックテストでは勝っているのである。

実際の取引とバックテストとの間で生じた乖離の原因はスリッページである。エントリーにしろ、エグジットにしろ、わずかにバックテストより不利なレートで売買していたのである。

このブレイクアウト戦略はトレード機会は多いが、1トレード当たりの利益は小さかった。つまり薄利多売である。この戦略はスリッページに耐えられなかったのである。ブレイクアウト戦略は机上のパフォーマンスは素晴らしいが、実際のトレードでは劣化がひどい。一方、逆張り戦略では同じ期間でのバックテストと取引履歴とで結果はほぼ一致している。

でも、ただの言い訳かも

とはいうものの、実際には順張りが苦手な私のただの言い訳かもしれない。得意な戦略ではうまくいくが、苦手な戦略ではうまくいかない。これは当たり前のことだ。ただ、スリッページは有利に動くこともあれば、不利に動くこともあり、薄利多売の戦略には致命的な影響を与えるということは最後に強調しておきたい。

(2017/02/15更新)

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